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【秘境】北アの最深部・裏剱を縦走してきた 中編 (剱沢~池ノ平~仙人温泉小屋)

_DSC9608 かねてより歩いてみたかった北アルプスの最深部・裏剱を歩いてきました。中編である今回は剱沢から仙人温泉小屋までをまとめています。

【登山日:2019年9月13日~15日】

剱沢の夜明け

むくり。

季節も秋に近づいてきたということで若干寒さが心配だったものの、夏山装備で特に問題ありませんでした。シュラフに包まってしまえば熟睡できます。

テン場が稜線沿いにないので風も無風に近く、割と気持ちよく眠れました。

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そしてこの夜明けですよ。

剱沢は谷にあるので日の出そのものは見ることができませんが、朝日に照らされる剱岳を拝むことはできます。

今日もいい一日になりそう。

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4時頃に他のテントでごそごそする音が聞こえてきましたが、案の定剱岳に早朝アタックをかけている人が多いです。テン場にはほぼ人の姿が見えません。中には深夜2時くらいに出発して、剱岳山頂でご来光を迎えるという方もいらっしゃるようです。

つまり、6時の時点でテン場にいる人は、撤収してこれから室堂方面に向かうパターンがほとんどというわけですね。急ぐ必要がないし。

しかし、今日の自分はどちらでもない。

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というわけで、これから裏剱ルート縦走が始まります。

剱沢本谷をゆく

裏剱のルートとしては、まず剱沢と真砂沢の出合にある真砂沢ロッジを目指すことになります。ひとまずは剱沢をひたすら下流に向かって歩くという非常に単純な道です。

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剱沢小屋から看板にしたがって歩きます。

このあたりは特に迷うこともありませんが、安心して歩けるのはここくらいまで。ここから先はかなりキツくなりますよ。

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しばらく歩くと、日本三大雪渓である剱沢雪渓が見えてきます。

昨日確認した最新情報の通り、雪渓上は亀裂が多いです。そりゃ通行不可になるわけだわ。

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雪渓上はとてつもなく大きな穴が空いている箇所もあり、仮に雪渓の上を歩いているときにズボっていったら間違いなく死ぬか、よくて重傷になるなこれ。

というか普通に穴のすぐ近くを人が歩いてるんですが。遠くから見ると余計に怖い。

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前述の通り、雪渓の上を歩くことができないため、主に右岸に設けられた秋道を通ることになります。

この秋道が思いのほか曲者で、周りのガレ場・ザレ場と全く見分けがつかない上、ルートを間違うと雪渓の上まで行ってしまってUターン不可という事態にもなりかねませんでした。

「山と高原地図」では雪渓上のルートは一般登山道ですが、秋道は難路(点線)に指定されています。また、雪渓中央を歩く場合よりも30分~90分ほど多く時間がかかると記載されていました。

雪渓の上のみを歩いて楽に通りたいという場合は、雪渓が崩壊していない8月中に訪れないと厳しいようです。

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向こう岸に大きな岩が見えてきたら、かの有名な平蔵谷出合(平蔵谷・源次郎尾根への分岐点)に到着したことを意味します。

右手奥に見えるのが熟練者向けの源次郎尾根で、自分が到着したタイミングでは1グループ(3人くらい)が上っていくのが見えました。自分もいつかはチャレンジしてみたいと思っています。

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平蔵谷出合を過ぎたあたりで、今日はじめての雪渓歩きをしました。

距離的にはほんの50mほどですが、今回は雪渓をどうしても歩いてみたかったのでこれで満足できました。通行可能な箇所は写真のようにピンクテープが置いてあるのでわかりやすいと思います。(というか、ピンクテープ以外の場所は通行不可)

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源次郎尾根を横目に見ながら、再度秋道の上を歩いていきます。

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平蔵谷から長次郎谷出合までの区間は秋道がスラブ帯に変わり、ただでさえ歩きにくい道の難易度がさらに上がります。

で、しばらく歩いてたら登場したのがこれ。

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!??

道の上にいきなり巨大な一枚岩が出現し、その上を下って下の道に行くことになります。

  • 岩の上は苔むしており、さらに水が流れている
  • 岩の下には雪渓の穴

という、足を滑らせたら即終了という恐ろしい状況で、完全に油断してたので面食らいました。

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広角レンズで撮影するとなんかのっぺりした絵になるので、あまり怖さが伝わらないのが残念。

実は結構斜度があります。

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雪渓の下がなまじ見えてしまっているのが恐怖を助長している感じがするね。この下に落ちたら…と想像してしまう。

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もはやどこが道なのかわからない件。

秋道の上はほとんど水が流れているので、とくに岩の上を通過するときは滑らないように注意する必要があります。

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難所を越えたあたり(長次郎谷出合)で、本日2回目の雪渓歩き。

この雪渓歩きで、雪渓の右岸から左岸に移動します。

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「山と高原地図」では、この長次郎谷を上に上っていくと剱岳山頂まで行けると書いてあります。コースタイム的には大したことない(4時間程度)と記載があるけど、ほんとか?まあ難易度がとてつもなく高いんだろうけど。

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知ってたけどお天気は快晴。

雪渓の上を歩いているのでかなり涼しいはずなのに、むしろ暑いくらいでした。

さて、道は左岸に移りましたが、道の難易度的には今までと変わりません。

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崩壊した雪渓を眺めながらの岩歩きが続きます。

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長次郎谷出合から一ノ沢・二ノ沢を抜けて、今日最初の補給ポイントである真砂沢ロッジに到着。

まだ水も大して消費していなかったので、ここは軽く休憩だけ済ませてスルーしました。

真砂沢ロッジでは6人くらいのグループに遭遇しましたが、彼らは仙人池ヒュッテまで行って、そこで宿泊されるようです(あとで寄ります)

直登に次ぐ直登

さて、今までの道は道と雪渓にかなりの高低差があり、滑落の心配を重視する感じでした。

しかし、ここからの道はどちらかというと川のほとりを歩くような雰囲気で、安全といえば安全です。

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具体的に言うとこんな道。

草が生い茂っているところを抜けていきます。

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と思ったら突然こんな道が出てくるから全く油断ならない。

丸太でできた道はなんか折れ曲がってるし、鎖がなかったら間違いなく川に落ちてます。

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ザックを背負っているとどうしても川の方に体重がいってしまうので、鎖だけが頼りという状況でした。

抜けてしまえばどうということはないんですが…。

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さて、しばらく歩いたところにある二股吊橋を越えたところで、剱沢とはお別れ。

ここからは仙人峠に向けて直登を登ることになります。

ちなみにですが、剱沢はこのまま下流にある十字峡へと続いており、下ノ廊下を歩くときには通過することになります。

下ノ廊下もまた歩いてみたいね。(今年は現時点でまだ不通)

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ここからは仙人峠まで、仙人新道をひたすら登ります。それはもうひたすらに。

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これが非常にキツかった。

これから登ることになる目の前の山を見上げても道が全く見えず、そのすべてが樹林帯で覆われていることを示唆していました。

夏山の樹林帯はアホみたいに暑く、さっきまで川の近くを歩いていたこともあってその温度差にかなりやられました。日陰になるから涼しいなんてことはまったくなく、ほぼ無風状態の中を上っていくのは辛いです。

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展望開けるベンチの中間点までは正直苦しいですね。

展望が開けてしまえば風は入るし、景色の力で体力が若干回復するので助かります。

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というわけで二股から約600m上って仙人峠に到着。道中はほぼ無心で歩いてました。

ここ仙人峠から東に向かえば今日の目的地である仙人温泉小屋、西へ向かえば池ノ平に行くことができます。

ルート的には東に向かうことになるのですが、時間的にはまだまだ余裕があったため、せっかくなのでザックをここにデポして池ノ平に寄り道することにしました。

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ザックを下ろして急に身軽になったおかげか、仙人峠から池ノ平まではすぐでした。やっぱり軽さは正義だね。

目の前、右手奥に見えている高いのが南峰(2,555m)で、南峰までは一般登山のため安全です。そこから先の領域は難路に指定されており、小窓ノ頭を経て剱岳に向かう道は北方稜線ルートとして知られています。

先ほどの源次郎尾根と同じく、熟練者向けの道というわけですね。

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仙人峠から約15分歩いて、池ノ平小屋に到着。

剱岳・北方稜線を歩く場合には起点に位置していることから貴重な存在で、そうでなくとも縦走中に水や飲み物の補給が可能ということでとても助かります。

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私が池ノ平小屋に到着したのはお昼前でしたが、この日はすでに宿泊者が到着されていました。

お話を伺うと想像通り、明日北方稜線を歩かれるとのこと。自分としては安全を祈願することくらいしかできませんが、羨ましい思いもあります。自分ももっと練習して北方稜線を歩けるようになりたい。

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ここで購入したコーラが美味すぎる件。

運動したあとのコーラの旨さは本当に感動すると思うの。

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池ノ平の何が良いって、この絶景ですよ。

キャンプ場である平ノ池、その向こうに見える剱岳。

剱沢から眺める剱岳とはまた異なる、岩稜帯にまみれた姿。三ノ窓のコル、三ノ窓の顔、八ッ峰の頭など、昨日歩いた別山尾根ルートとは別次元の峻険さに興奮するばかりです。

ここを歩けるレベルに達するにはまだ時間がかかりそうですが、今回はこの岩峰群を見れただけでも来た価値があるというものです。ますます楽しみになってきた。

仙人温泉へ

裏側からみた剱岳の余韻を感じつつ、仙人峠まで戻ってきました。

早速ザックを回収して、今日の目的地である仙人温泉小屋までがんばるぞい。

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仙人峠から10分ほど歩くと、仙人池ヒュッテという山小屋に到着します。

仙人峠を挟んで東(仙人池ヒュッテ)と西(池ノ平小屋)に山小屋が存在するため、裏剱を歩く場合はこのどちらかに宿泊するのが一般的とのこと。つまり剱沢方面から歩く場合は、真砂沢ロッジ→仙人池ヒュッテ→阿曽原温泉小屋の順で泊まるというわけです。この行程だと一日に歩く距離も短く、無理のない歩行ができますね。

ただ、自分の場合は「仙人温泉小屋に泊まる」ことが目的だったため、一般的でない、いわゆる変則的な行程になりました。

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仙人池ヒュッテの名物といえば、その名前にもなっている仙人池に映る剱岳です。特に紅葉の季節になると、それはもう素晴らしい景色を楽しめるのだとか。

このあたりで紅葉というと欅平や水平歩道、下ノ廊下が有名ですが、少し足を伸ばして仙人池まで歩いてみるのも面白いかもしれません。

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さて、ここからは仙人温泉小屋まで山小屋もなにもありません。

最終チェックを済ませて、いざ本日最後の行程を歩くことにします。

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仙人池ヒュッテから仙人温泉小屋までの道は、簡単に言うと川沿いに下っていく道です。

つまり至るところに沢があるということで、水分補給については気にしなくてもいいかも。自分もガブガブ飲んでました。

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ただし、道としてはかなり悪路です。

  • 道幅が異常に狭い
  • 勾配が急
  • 道が不鮮明

登山道というよりは獣道みたいな道で、対向者が来るとすれ違いが難しいくらいです(いなかったけど)。

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道どこ…どこ…。

目印も非常に見づらいので、時には立ち止まってルートを確認する必要があります。

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後半になるとルート上の岩の割合が増え、それにつれて「滑落したら軽傷」から「滑落したら重傷」へと危険度が上がっていきます。

剱沢を歩いたときのような危険箇所が連続するので、今日最後の行程とはいっても全く油断できません。下り基調なので疲労も溜まりやすく、細心の注意を払って進んでいきます。

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そして…。

ふと前を見ると、何やら森の一箇所から煙が上がっているのを視認しました。もしかして、今日の宿である仙人温泉小屋が近いということでは?

ゴールがすぐ近くにあるということで、急に元気が湧いてきました。

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そして13:20、ついに仙人温泉小屋に到着しました!

やったー着いたー 。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚。!!

仙人温泉小屋での一夜

着きました。

秘境:仙人温泉小屋

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立山室堂からでも1日ではたどり着かない北アルプスの最奥にあるため、夏山の最盛期の時期でも訪れる人は少ない場所。

去年は営業していなかったため、今年こそはと思ってましたが、ついに来ることができました。

早速チェックインを済ませて一息。今日は自分を含めて5人が宿泊するようです。

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あれこれ語る前にこの温泉ですよ。

目の前には白馬岳や不帰ノ嶮、そして唐松岳が一望できる素晴らしい立地。こんな山奥で温泉に入れるなんて誰が想像できるだろう?

今までの縦走の疲れが一気に癒やされる適度な温度、そして絶景。

ここまで来ることができて本当に良かった。

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イラストにくすっとしながらしばらくお湯に浸かってました。

一応、温泉は14時から一時間ごとに男女交代制となり、20時(消灯)移行は混浴となります。

今日は女性の宿泊はないということで、ほぼ半日温泉に入り放題という奇跡。最高か?

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今回の縦走では、全日ヤマノススメのあおいちゃんサイクルジャージを着て歩きました。

仙人温泉小屋の看板の前で記念撮影をし、なんか心にジーンと来るものがありました…。登山時にヤマノススメのジャージを着るのは今後も続けていきたいと思います。

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仙人温泉小屋のつくりは非常にシンプル。

食堂がある本棟、宿泊棟、そして温泉。これだけ。

宿泊棟についてですが、実際に宿泊してみた感想としては「快適に寝られるのは6人まで」といったところです。布団を普通に敷くと6人分で床が埋まってしまうので、それ以上になると布団一枚に二人とかで寝ないといけなくなります。

なので、今日の宿泊者が5人というのは運が良い。(ちなみに明日は7人だそうです)

諸々の不便さは置いておいて、「山奥で温泉に入って布団で寝られる」ことほど快適なことはありません。特に北アの最深部で布団で寝られるなんて、幸せ過ぎる。

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夕食も非常に豪華。

ご飯と味噌汁はおかわり自由で、みんなおかわりしてました(笑)

そこからは宿泊者同士で話に花を咲かせたり、明日の予定などについて色々話し合ったりしました。この日泊まった方は全員剱沢方面から来られたようで、明日は阿曽原温泉小屋に泊まられるようです。

山小屋に泊まると、こういうふうに宿泊者同士で仲良くなれるのがいいところだと思います。テント泊でも隣のテントの方と話たりするのはできなくはないんですが、やはり山小屋だと同じ部屋に泊まるということで多少話しやすくなりますね。

そんな感じで気がつけば時間は20時。

最終日も今日みたいに晴れるといいな…と思いながら眠りにつきました。

後編(仙人温泉小屋~阿曽原温泉小屋~欅平)に続きます。